宅建業務における報酬の限度額 ②(代理 / 貸借編)
▼売買の代理報酬の限度額
代理報酬の限度額は、媒介の2倍である。
1,000万円の代理報酬額は72万円ということになる。
(1,000×3%+6万円)×2=72(プラス消費税)
基本的には依頼者からのみ受け取るのだが、
相手方の了承があれば相手からも報酬を受け取る場合があるが、
その場合も、依頼者と相手方からの報酬の合計が媒介報酬の2倍以内でなければならい。
▼複数の宅建業者が取引に関する場合
一つの取引に関し宅建業者の受け取る報酬額の合計は
「媒介報酬の限度額の2倍まで」
以下のいかなるケースにおいてもそのルールが適用される。
・1社の宅建業社が売主・買主を媒介し、契約を成立させた
・売主、買主それぞれ別の業者が媒介し、契約を成立させた
・代理業者と媒介業者が取引に関与:代理業者が2倍の報酬を受け取った場合には、買主の媒介業者は報酬を受け取れない
・たくさんの業者が関与する:報酬限度額の中から業者間で報酬額の分配を行う。
※交換物件の価格の場合:高額の方の金額が基準となる
▼貸借報酬の限度額
貸借の場合、媒介でも代理でも、貸主・借主から受け取ることのできる報酬額の合計は賃料の1か月分が限度。
・居住用の物件の場合
居住用の物件の場合、事務所や店舗と異なり、貸主・借主の報酬の分配比率が決まっている。
原則として、依頼者一方から受け取ることのできる報酬限度額は賃料の0.5か月分。
ただし、相手が承諾すれば合計で1か月分を限度に比率を自由に決めることができる。
・権利金の授受がある場合
賃貸借契約において権利金が支払われる場合がある。
権利金の授受がある宅地、非居住用建物(店舗や事務所)場合、権利金を媒介代金とみなして売買報酬の計算式を適用することができる。
例えば、賃料15万円、権利金400万円の事務所の賃貸借契約の場合。
賃料の1か月分は15万円が限度額となるが、400万円の権利金を媒介代金とみなして計算すると18万円となり賃料の一か月分を上回る。
その場合、権利金を使って計算した報酬額の限度をして授受できる。
※権利金:賃貸借契約締結時に支払われる一時金のうち、契約終了時に返還されないもの。地域によっては礼金とも呼ばれている。反対に返還されるものを「敷金」「保証金」と呼ばれる。
▼不当に高額な報酬を要求する行為の禁止
宅建業者は媒介報酬以外に、媒介に要した費用(交通費や広告費、申し込み料など)を請求することはできない。実際に受領しなくても要求しただけで宅建業法違反となる。
ただし、依頼者から特別な依頼によって行う広告の料金や遠方の現地調査費などに相当する額は依頼者の了承があれば受領できるとされている。
なるほど、売買の両方やったらそれ相当の報酬額。一方ならそれなりの報酬。
交換の場合も、権利金の話も、扱う内容が高額になればなるほどその内容を含めて限度額を変化していく。改めて考えると当たり前なんだけど。みょうに納得。
あと、報酬の限度額が依頼者や買主に対してではなく、取引の合計として決まっているのが、ちょっとへぇーポイントでした。