宅建業務上の規制(秘密厳守・強引な営業禁止・手付の話)
宅建業者は、取引関係者に対し、信義を旨とし、誠意にその業務を行わなければいけない。また、業務を適正に実施するために本人だけではなく、従業員教育を行う義務がある。
▼守秘義務
宅建業者やその従業者は、職務上、他人の財産状況や家庭状況などを知る機会も多いので、宅建業者及び従業者は、正当な理由なしに業務上知り得た秘密を他に漏らしてはならないという、守秘義務が課せられている。
宅建業を廃業したり従業員でなくなってもこの義務の対象である。
ただし、
・本人の承認がある
・裁判で証言を求められた
・取引の相手方に真実を告げる
などの場合には、守秘義務違反にはならない。
▼強引な営業の禁止
近年投資用マンションなどの勧誘に関する苦情が殺到し、以下の条文が追加された。
【宅建業者が相手方にしてはならない行為】
・正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むこと
・勧誘に先立って宅建業者の商号(名称)、氏名、契約締結について勧誘する旨を伝えずに勧誘すること。
・宅建業者の相手方等が、契約を締結しない旨の意思、勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を表示したにも関わらず、賢雄を続けること
・迷惑を覚えさせるような時間に電話し、または訪問すること
・深夜または長時間の勧誘その他私生活または業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させること。
▼預かり金の返還を拒むことの禁止
契約が成立しなかった場合、手付け放棄、クーリング・オフにより契約が解除された場合には、預かっていた金銭(申込金)などは速やかに変換しなければならない。
また、手付け放棄による契約の解除を妨げる行為も禁止されている。
【宅建業者が、相手方にしてはいけない行為】
・宅建業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預かり金を変換することを拒むこと。
・宅建業者の相手方等が手付けを放棄して契約の解除を行うに際し、正当な理由なく、当該契約の解除を拒み、また妨げること。
▼手付とは
手付:契約成立の時に交付される金銭。
手付の一種である解約手付を交付すると次のような効果がある。
・買主は手付を放棄するれば契約を解除できる。(手付放棄)
・売主は手付の倍額を返還すれば解約を解除できる。(手付倍返し)
・相手方が履行に着手した後は、手付放棄も手付倍返しもできない。
契約した以上、それを守らなければいけないのが大原則だが、上記の場合には契約をキャンセルすることが認められる。
手付放棄は便利な制度なのだが、期限を決めておかないといつまでも契約が安定しない。そこで、相手方が契約の履行に着手した場合には、もう手付による契約の解除はできない。
▼手付貸与の禁止
宅建業法は手付の貸与を禁止している。
手付金の分割払いや、約束手形によっての手付の支払いも禁止されている。
たとえ、手付の貸与を促し契約が成立しなかったとしても、その行為自体が宅建業法に違反する。
知り得た秘密は、たとえ宅建業を行わなくなっても喋っちゃダメ。
強引な営業はダメ。
預かり金は速やかに返還する。
手付金は貸しちゃダメ。
買主がちゃんと用意して契約を自ら進んで行えるような、環境づくりが大事。
当たり前のようなことばかりだけど、
きっとノルマや会社の文化などによって、迷惑になるような営業を行ってしまった人が多いのだろうなと想像できますね。
宅建業者は紳士であれ。
ですね。